「選手を100%信じる穏やかな視点」LOL Wild Rift部門 Fitch

COACH

『LoL:Wild Rift』部門でコーチを務めるFitch。チームビルディングの重要性についてお伺いしました。

——esportsのようなゲームを始めたのは、いつごろでしょうか?

初めて出た大会の興奮

esports的なゲームを始めたのは高校生の頃でした。15歳の頃、友達に誘われてPCでFPSゲームを始めて、たまたま入ったギルドで「ゲームの大会に出たい」という友達ができて、初めて出た大会でベスト16まで行けたことが嬉しく、とても楽しかった。それがesportsを始めたきっかけです。

——esportsを始めた頃の成功体験って良いですね。その前に、ゲームをやろうと思ったきっかけはなんだったんでしょう

父親が、自分が遊ぶためにプレステ2を買ってきて、家にポケモンの緑が転がってたり、自然とゲームで遊んでたみたいな感じです。そういえば僕とポケモンは1996年生まれなんです 笑。

コーチとして誘われたチャンスを活かす。模索と期待から始まった

——esportsのコーチになりたい人も多くいるので参考までに、コーチになったきっかけや、やっていこうと思った出会いについて、聞かせていただけますか?

LOL Wild Rift部門のMaiさんと出会った頃、僕も選手としてUSG ではないチームに所属してたんですが共通の友人がいて、esports やゲームの話しをしているうちに、だんだん仲良くなっていきました。Maiさんが2回目の世界大会出場が決まったとき「コーチが必要なんだけど、コーチやってみない?」と、声をかけてくれて、僕自身は能力が高かったわけではなく、人柄みたいなところで誘ってもらえたのかなぁって思ってます。それがきっかけで、コーチになりました。Maiさんと友達になったことが、esports に深く足を踏み入れた大きな転機です。

Maiさんがきっかけで、それまでの方向性や流れが加速というか、変化したんですね。

そうなんです。実は中学3年生の頃から、ゲームとアマチュアバンドを並行して同じくらいの比重で、一生懸命やってたんです。バンドは、週一でスタジオに入って曲を作ったり、フェス出演を目標に練習してて、ゲームとバンド、どちらか先に結果が出たら、片方を辞めるってことをMaiさんとバンドのメンバーに事前に伝えて少しストイックに取り組んでた時期でした。結果的に、先にゲームの世界大会が決まったので、バンドのメンバーに辞めたいと話したら、その直後にメンバーと全く連絡が取れなくなってしまいました。。。。悪いことをしたと今は思っています。

——そのバンド、今はどうなってるんですか?

ギター担当の友人は、大学を卒業してから音楽の専門学校に通い、アルバイトをしながらバンド活動を続けていて、連絡を今は時々取り合ってます。

何かに向かって頑張ってると、環境が異なっても、連絡を取りあえるってありますねぇ。共感します。

——ところでバンドを諦めてesportsコーチの道を進みはじめ、チームはどんな変化をしてきたのでしょうか?

当時、世界大会に行けたメンバーと今のDONUTS USGのチームでは、Maiさんと僕以外は全員違うメンバーになってて、今のメンバーになり1年くらい経ちます。

元々能力の高い人たちがたくさんいましたが、なかなか結果が出ない状況が続いてて、それがここ最近勝ててきて、うーん。。。。お互いのことがどんどん、どんどんわかってきた感じというか。ずっと気を使いあう優しい人たちが集まっていて遠慮していることが多かったんですが、今は一番仲が良い状態になっています。

紆余曲折を乗り越えて、良い距離感になってきた

ここ最近まで、気を使い合い個別に相談だったんで、信頼感がチームを強くすると信じ、思ったことを言って大丈夫という方向へ、新たにトライしながら動きはじめました。いまのところ勝っていたり価値ある負けが続いてるので、芸人さんも売れると仲良くなると聞いたことがあるんですが、なんかそれと近いかも 笑。

頭をバーンって叩かれたような悔しさから敗者復活戦へ

手応えを感じられるチームの変化は、これからもいろいろあると思うけど、それにも増して楽しみですね。

——ところで、今シーズンで印象に残っている試合はありますか?

フィリピンのチームとリーグ戦第1回目の決勝であたり、ボコボコに負けたんで、翌日の敗者復活戦にまわることになりました。負けてすぐ、負けた理由と修正点について反省会をブァーってチームでやって、敗者復活で勝ち上がり、決勝でボコボコに負けたチームと2日後に対戦して、勝てた試合がめちゃめちゃ印象に残ってます。

——その試合の勝因を教えていただけますか?

反省会で共有したことを、即試合で行動に移した巻き返しの速さ。わかっていても反射的に出てしまう癖を修正し対応していく力が、個々に上がってることを実感しながら勝ちました。それが今の勝ちに繋がってるように思います。

それまで国内での練習試合や大会で負けたことがなくて、フィリピンのチームにいきなり決勝で負けたとき、頭をバーンって叩かれたような悔しさが込み上げてきて、そこから全員で鍛冶場の馬鹿力みたいに頑張った。その経験が、平常心で勝ち進む力、負けても踏ん張るに繋がっています。

そのリーグ戦、見たかった。

——最近、いろんなコーチやesports 関係者に会う機会が増えてきたと思うんですが、他のコーチからの刺激や、なんとなく気になるポイントはありますか?

僕は、まだコーチの経験や実力が浅いので、戦術やキャラクターを選ぶことに対して、自分に見えていないものが見えている人に会うと、なんだこれ?知らない。なるほど!って気付かされることがあって、そういうとき、あー悔しいなぁと思います。

——その視点はなかった。。。などの気づきは、試合の最中とそれ以外で、どちらの方が多くありますか?

試合だと、どこまでがコーチの影響下なのかが曖昧なんで、プレイヤーと話したり、別のチームと交流してるときなんかに、気付かされることが多くあります。

競技自体がまだ発展途上なため、例えばサッカーとかだと、あの監督が来れば戦術が変わるとかデータもあるので分かりやすいんですけど、esportsは歴史がまだ浅いので、手探りでやってる感じです。

選手を100%信じること

——戦術、勝ち筋など流れの作り方をもう少しお聞きしたいんですが、選手の状態を俯瞰的に見て、対戦チームに合わせてシナリオの大枠を決定しているのでしょうか?

その時々で変えるんですが、ここのところはパフォーマンス性が高い選手を起点にして、キャラクター、戦術を決めてマネージャーの意見を聞いて修正した後、選手にまとめて話すようにしてます。それまでに、いろんな競技のコーチング関連書籍を読んだりゲームの対戦を見たり、成功事例を活かして飛躍する方法とか、良い流れをつくるにはどうしたらいいかなぁって考える時間を、できるだけ多くとるようにしています。

——自身の元プレイヤーとしての強みを活かす戦術とコーチングの合わせを使い、戦略立案しているということでしょうか?

うーん。。。コーチの理想の進め方ではなくて、みんなの話を聞くようにまずはしてます。いろいろなコーチの形があるので決めすぎず、今はみんなのやりたいものをやってもらい、それぞれのプレイヤーの適正、あっているところ、長所を活かすように心がけています。

選手を100%信じて、そのパフォーマンスを見て、試合で試すかどうかを決める。それがいま、僕がしているコーチとしての進め方です。

——違ってた!と思った瞬間はどうするんですか?

練習中に気づいたときは、本番では別のピックを作り直します。こういうのを試そうというのがうまくいかなかった場合は、それは一旦置いておく。チームによっては不得意なところをトレーニングするチームもあると思いますが、僕らはその時間を、選手の適正に合ったものを、活かしていくようにしてます。

仲良くなろうと思うとうまいこといかないから、時間をかける。そのうち良いところがいっぱい見えてくる

これまでの痛い失敗も活かすように、コーチング関連の書籍も参考にして、思いきってポジティブな方向にコーチとして切り替えました。なんでも言える関係になること、とても大事!。

模索しながら少しずつ進化ですね。そろそろインタビューも終盤です。

——これは全員に聞いてるんですが、メンタルトレーニング、フィジカルトレーニングをしていますか?

メンタルトレーニングは、根が明るいから、そんなに落ち込まないのでコーチングの本を読むくらいしかしてないんですが、選手が落ち込んでないか?落ち込んでいたら、できる限り良い言葉をかけることを心がけてます。あと個人的にはテレビを見たり、ラジオを聴いて、声出してゲラゲラ笑うとか、気持ちの切り替えを大事にしてます。フィジカルトレーニングは、、、ほんの少ししかできてないんで、これからやるようにします 笑

——LOL Wild Riftの目標と、esportsがこうなるといいなって希望はありますか?

LOL Wild Rift 部門の目標は、公式大会で日本一!から世界で戦うこと。あと、esportsがオリンピック競技になるといいなぁって思ってます。それから億万長者になって、グラビアアイドルと結婚がよくあるって言われるような業界になるといいなぁ 笑

余談ですが、最近実家に戻り、おばあちゃんが作ってくれる美味しいご飯を食べて生活が規則正しくなって健康は大事と感じてます。コーチとしては、いろいろな視点が見え始めた時期だから、ここから変わっていくところです。これから楽しみにしていてください。

良い結果やコーチとして伝えたいことが増えてきたら、ぜひまたインタビューさせてください。楽しみにお待ちしています。ありがとうございました。

 

取材・撮影・編集:Donutsデザイン戦略室 取材チーム

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